サブクエのお使い感
行く先々の街の住民から
「あのモンスターの肉食べてみたいなぁ。君は冒険者だよね、ダンジョンに行って取ってきてくれないかな。もちろん報酬は出すよ」
などの依頼を受けて達成するアレである。
このサブクエのシステムはやってもやらなくてもメインシナリオには影響しないが報酬がもらえるため育成がスムーズに進められるという利点がある。
プレイヤーとしてはなるべくサブクエを消化しながら進めたいものだ。
しかし行く先々どの街でも「あのモンスターの肉食べてみたいなぁ」という住民が現れるため、どうしてもゲームシステム丸出しのお使い感が出てしまう。
そもそも主人公一行はなぜ「あのモンスターの肉食べてみたいなぁ」などという住民の願いを叶えて周っているのか。動機はなんだろうか。
考えられる動機
お人好しだから
主人公がお人好しで「勇者の格」があるから、というのが考えられる。
正直これは一番アリがちな設定でお使い感しか出ない。
理由付けも安直で、シナリオ進行上主人公が落ち込んでいるときでも雰囲気ぶち壊しで「あのモンスターの肉食べたい住民」の願いを叶えることになる。
主人公の動機がこれしかないならサブクエ部分に関しては擁護できないクソゲーと言って良いだろう。
路銀が必要だから
冒険をする以上お金が必要だから、依頼報酬目当てでサブクエを行う、という理由。
プレイヤーの動機も同じなのでシナリオ進行との不自然さも減るだろう。
「依頼を請け負って達成することで稼ぎながら旅をする冒険者がいる世界」という導線を事前に提示することで、プレイヤーもそういう世界観と分かったうえで違和感なくサブクエに打ち込める。
冒険者ランクを上げる必要があるから
依頼をこなすことで冒険者ランクを上げれば行けるダンジョンや次のストーリーが解放されるから、という理由。
メインシナリオの進行とサブクエ攻略を関連付けることで、ある程度サブクエをやる動機付けを強くする。
欠点としてはある程度サブクエ攻略必須となる点だが、そもそもサブクエも遊んでほしいから組み込むわけでサブクエ攻略&ランク上げ期間をメイン進行に組み込んでも別に良いだろう。
重要なのは世界観からシステムへの導線
ストーリーの本筋としては「特殊な任務を遂行する主人公」がお人好しという理由だけで先々の住民のしょうもない願いを叶えているのがシナリオ上不自然なのが最大の問題だと思っている。
かといってゲームシステムの幅を広げるためにはサブクエ要素は削りづらいのも確か。
よくあるシステムだからと何も考えずに組み込むのではなく、冒険者ギルドのような仕組みを世界観に組み込むことでシステムに対するプレイヤーの違和感を減らすのも重要なのではないだろうか。
【聖剣伝説 VISIONS of MANA】クリア後の感想(ネタバレあり)
聖剣伝説VISIONS of MANAを一通りクリアし、追加の章も終えたので残った疑問点や感想を書き連ねる(ネタバレあり)。
災いと御子
災い(ディロフォロスの呪い)が起きるようになったから、各地の人々がマナの樹に魂を捧げる御子を送り出す制度ができたわけだが、冒頭ギッドのような即時的な効果で滅んでしまうようであれば御子を送る制度が確立される前に壊滅してしまうだろう。
もし任務を蔑ろにしたことで災いの効果が即時的に発動するのであれば、パルミナが指名を隠したりアッシュがヴァル一行と同行しようとしない時点でそれぞれ滅ぶことになってしまう。
ディロフォロスにとっては愛の逃避行こそが一番強く呪う要素であるからギッドが特例であり、本来災いではすぐに滅ぶほどの効果がないのだろうか。
それに災いが起きて滅ぶと言われているが、いったい今までどれくらい滅ぶ事態に陥ったのだろうか。
かつて滅んだことがある場合、実質4年前の災い(エテラナは別要因であるため除く)が起きるまで復興できているのはなぜだろうか。
滅ぶに至らなかったとしても、なぜ滅ぶと伝えられるようになったのだろうか。
そもそもとして、ディロフォロスは英雄としてのみ伝えられており、なぜ災いが起きるようになったかについても人々は真実を知らされていない。
「マナの循環を保つため(ディロフォロスの呪いに対抗するため)マナの樹に魂を捧げる」という助言がないのであれば、その解に至るまでに「大精霊や封印された神獣への生贄」などの間違った選択が行われていた可能性すらある。
御子制度が確立し御子になることが栄誉あることとする経緯に疑問が尽きない以上、御子への感情移入はしづらい。
プレイヤーキャラに感情移入できるかどうかはシナリオ主体のゲームにおいては重要なはずだが、あえて現代人の感覚とはズレた大筋にした意図はなんだろうか。
まあシナリオライターがそこまで考えているかどうかが一番の疑問なのだが。
精霊器の扱い
精霊器はかつて英雄が神獣討伐のために精霊が力を貸したものだが、現代では子供の遊び道具になったり地面に埋まってたり売り飛ばされたりつっかえ棒にされてたりと雑な扱いを受けてる場面が多く出てくる。
長年の経過によって英雄の伝説はただの言い伝えとなり、その道具もまた信仰心が失われている、ということなのだろう。
それはまあまだ経緯は想像できる。
しかしヴァル一行に力を貸すことになった経緯は詳しく語られていない。
代々御子の旅に貸す習慣があるわけでもないようで。
なんとなくヴァル一行に力を貸すことになりクラスチェンジできるようになり、上限解放アイテムも偶然見つかるし、最終的に偶然一式揃って強くなれた。
結果的に、神獣やディロフォロス、イヴザラッハなどのイレギュラーな事態にも偶然手に入った精霊器で偶然対処できた。
そんな流れにしか受け取れない。
ゲームシステムの最重要な要素がシナリオ上ではすべてが雑な扱いになっているのには正直制作側の意図が全く理解できない。
魂石とアビリティシード
ヴァルはモンスターなどを魂石にできる不思議な力を持つが実は御子の魂をマナの樹に捧げるのに使われる能力。
魂石化能力はシナリオ上の重要な要素であり、ヴァルはヒナやオーリン、ライザを魂石にしてしまうことで物語が進行している。
しかしモンスターの魂石化は能力なくともそこそこ発生しているようで希少品として取引されており、主な交換品はアビリティシードとなっている。
アビリティシードは図鑑の用語解説もないくらいシナリオサイドではほぼノータッチ。
システム的には補助効果のあるアクセサリー的な扱いで、プレイの幅を広げるための要素。
そもそも能力に関係なく発生するようなら、ヴァルの特性の設定が弱くなるが良いのだろうか。
それにアビリティシードはそれはそれで量産できない代物なはずだが、魂石製造機ヴァルがモンスター狩りしまくればいくらでも希少品が交換できるわけで、市場崩壊待ったなし。
「魂石からアビリティシードが作れる」などとNPCが少しでも話していれば多少は違ったのだろうがそれもなかったはずなので、それぞれ無関係な希少品同士を交換できる要素にしかなってない。
シナリオ上の重要な要素がシステム面でただの交換アイテム扱いになっており、せっかくの特性が台無しになっているように感じる。
過去作の匂わせ
モンスターだけでなく、シナリオ上でも過去作を匂わしているが、時系列などの関係性が公式に決められているのかは疑問。
- ガイア族は昔ドワーフと呼ばれていた→ドワーフと呼ぶ作品は過去?
- ワッツは災いで皮膚が硬化して顔を隠すようになった→ワッツの姿が似ている作品は未来?
- ボン・ボヤジは大砲を発明してみたいと考えているが、戦争の道具にならない方法を模索している→大砲移動できる作品は未来?
- プリム号はおとぎ話の貴族の娘の名前から付けられた→聖剣伝説2は過去?
ざっくりこれだけでも矛盾してるので、真面目に考えるだけ無駄かと思われる。
あくまでファンサービスとして既存キャラを採用しているケースはこれに限らず良くあるので「聖剣伝説シリーズに正式な繋がりはなく似たような世界観のパラレル(not時系列分岐)」と解釈してしまって良いだろう。
しかし「聖剣伝説らしさ」のためだけの過去作の匂わせが多いと、そもそもこれが完全新作と言えるのかが疑問になる。
シナリオとして「聖剣伝説らしさ」の新規性追求ができず既存要素に頼るしかなかったのだろうか。
そもそもマナの樹や聖剣、大精霊あたりがあれば聖剣伝説らしさは十分あるはずで、いちいち過去作の名前を使うのはファンサービスというよりも名前決めに雑に引っ張ってきたように見えてしまう。
聖剣伝説VoMの良さ
粗探しばかりでは何なので、逆に良いと感じたところも書いておく。
最大の魅力はなんといっても景観。
ライトファンタジーの世界を旅している感覚は「今年発売の最新作」と堂々と言える出来栄えになっていると感じた。
それに聖剣伝説シリーズを過去にプレイしたことがあるので、当時2Dで見たシーンが最新技術の3Dで再現されていることにも感動できた。
ライト向けアクションRPGとしても割と良くできている。
レベリングの必要性も低く、程よく雑魚敵とも戦いながらシナリオを進めているだけでサクサクプレイできた(難易度ノーマルでプレイ)。
戦闘面では、味方のAIも一応バフ/デバフや属性を効果的に使おうとしているし、精霊器や必殺技要素で緩急もあり十分楽しめる。
初期バージョンで特にひどかった状態異常の氷結であっても「そういえばこれ、ただのアクションじゃなくてアクションRPGだったな」と分からされたのである意味では良かったのかもしれない(良くはない)。
(状態異常と言えば、序盤にフエーゴ師匠が「プイプイ草がすぐに尽きて村に戻ったら笑われた、準備はしっかり行うんじゃぞ」的な話をするのに道具屋にプイプイ草が売ってないのも意味が分からんかったが……)
精霊の住処はそこそこ高難易度で精霊器の活用方法を模索したりと、固定されがちなプレイスタイルを考え直す良い機会にもなっている。
まあハードゲーマー向けにはもっと組み合わせを試せるような高難易度周回要素が欲しいので「あくまでライト向けには程よくまとまっている」という感じではあるが……
まとめ
細かいところではファストトラベルやサブクエなども洗練されていないし、シナリオとゲームデザインの粗が多く、所々に過去作要素の名前出してなんとか聖剣伝説らしさを出してたような惜しい作品だった。
強気な価格設定に対して完成度が低すぎる、というのが個人的な総評。
プロデューサーやディレクターは「聖剣伝説らしさ」をしっかり明確化して過去作要素に頼りすぎない新作を作る意識を持ってほしい。
開発陣は大規模化と分業化や多国籍開発の弊害もあるのだろうが一つのゲーム開発チームなんだからしっかり連携してより良いモノを作ろうって意識を持ってほしい。